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ラシーン

かわいいけどしっかり4WD!直線基調&濃厚キャンプ味な「日産 ラシーン」

主に1990〜2010年ころに発売された、「ちょっと古いけどツウならいま乗りたい」そんなキャンプな自動車をサラリと紹介する当企画。今回、hinata的名車としてお届けするのは、当時ならではのスクエアなボディとかわいさが際立つ「日産 ラシーン」です。

「ラシーン」って、どんなクルマ?

方位を示す“羅針盤”からネーミングされたのが、1994年に発売された小型RV車「日産ラシーン」です。
ラシーン
車名の意図は当時、ドラえもんをキャラクターにしたTVCMでも使われた“ぼくたちの新どこでもドア”というキャッチコピーにも集約されていました。冒険心をもってどこにでも行けるクルマを目指していたのです。
ラシーン
YPE IIIにはグリルガードも装備されていました
このような販売戦略も功を奏して、当時は小さな子どもがいるファミリーに共感されたように記憶しています。アクティブな奥様が運転する姿を街中でよく見かけたものです。 運転することが特別好きでもない人も、かわいらしいスタイルに魅了されて選ぶクルマ。筆者はそんなイメージを抱いていました。

パイクカーの流れを汲む、新感覚コンパクトSUV

ラシーンは90年前後にムーブメントとなった、日産のパイクカーの流れを汲んでいます。
パイクカーとして人気を博した日産「Be-1」
パイクカーとして人気を博した日産「Be-1」
パイクカーとは、初代マーチをベースにレトロなスタイルが与えられた限定モデルたちのこと。「Be-1」が代表的なものに挙げられますが、発売当時は抽選方法が採用され、申し込んでもなかなか買えないほどの人気ぶりでした。 1994年に発売されたラシーンも同じような流れのモデルではありますが、パイクカーのような限定車ではなく、一般のカタログモデルとしてラインナップされたことも特徴です。

タフで愛嬌ある姿がキャンプにマッチ

ラシーンはサニー・パルサーをベースにしたことで、前述のパイクカーたちに比べて大きなサイズが与えられていることも特筆するべきポイントです。
キャンプ道具の積載にも便利な、上下開きのテールゲート
キャンプ道具の積載にも便利な、上下開きのテールゲート
“新感覚のRV”として、ステーションワゴン風のエクステリアデザインが採用されているのも、いまでは新鮮に感じる人が多い理由のひとつかもしれません。 直線基調ながら愛嬌あるフロントマスクや、スペアタイヤ(TYPE II・TYPE IIIグレードに標準装備)を背負った上下開きのテールゲートもラシーンの個性を象徴するものです。
ラシーンのインテリア
また専用にデザインされたインテリアも、“ザ・大衆車”たるサニーやパルサーとは一線を画す、とてもスタイリッシュなものでした。 さらに、嫌味のない柄&疲れにくいクッション性を担保した、前後シートも採用。見ても乗っても楽しい気分になれる室内が演出されているのです。

キャンプの足にも頼れるフルタイム4WD

ラシーンの注目すべき個性はルックスだけではありません。
全グレードが4WDの設定とされていました
全グレードが4WD設定とされていました
TYPE I〜IIIなどのように装備や仕様が異なるグレードが展開されていましたが、いずれも駆動方式をFF(フロントエンジン・フロントドライブ)ベースとしながら、後輪にも駆動力を伝達する4WD仕様とされているのも見逃せないところです。 極端な悪路を想定したものではありませんが、少々荒れた未舗装路や積雪しているような道路でも安心して運転が楽しめるのです。

マイナーチェンジ後のモデルにも注目

いずれのグレードも大きな違いがないのもラシーンらしいところです。それも功を奏して着実な販売成績を記録。毎年のようにカラーリングや装備を変更した特別仕様も発表されました。
ラシーンのエンジン
ラシーン ftに搭載されたSR18DE型エンジン
その中でも特に注目したいのが、1997年のマイナーチェンジです。デザインの小変更とともに、特別仕様車でなくてもデュアルエアバッグやABSを標準装備。安全性の面でも大きな進化を遂げたというわけです。 さらにこのときには、排気量が大きな1.8Lエンジンを積んだ「ラシーン ft」も追加されました。当時の日産の高性能4WDを象徴する、センターデフとビスカスカップリングを組み合わせたアテーサ方式が採用されたのもトピックです。 進化は続き、1998年には2LのDOHCエンジンを採用する「ラシーン フォルザ」が新設定されます。走りの強化を果たしたわけですが、その一方でラシーンらしさが薄れたと感じる人も少なくありません。丸形4灯式ヘッドライトや専用グリル、オーバーフェンダーの採用で、エクステリアのイメージも大きく変わったのでした。

新車価格を上回るほどの人気に

後述のように現在ではネオクラシックカーとして人気が高まっていますが、販売されていた当時は中古車も一般的な相場でした。
ラシーン

出典:PIXTA

そうなると30代の奥様ばかりでなく、いわゆるギャルたちにも人気となります。運転免許を取得して間もない女性にとって、かわいさや運転のしやすさも魅力だったのでしょう。 筆者だけかもしれませんが…それらの女性に「自分たちと同じようにクルマ好きなんだ!」と都合よく思わせるなにかを感じていた覚えもあります。とはいえ、意を決して声をかけても仲良くなれる確率は低かったのが正直なところかもしれません。

欲しいと思ったときが買いどき

ラシーン
翻って現在、ラシーンの中古車相場は高値で安定しています。 2010年前後であれば20~30万円ほどから選べましたが、2024年現在では50万円前後が相場の下限。いずれも走行距離が20万kmほどの状態なので、距離を気にする人には難しいかもしれません。ただ、裏を返せば10〜20万kmほどなら大きなトラブルなく乗れる信頼性を備えている、と捉えることもできるはずです。 唯一無二の個性で、この先も中古車価格を価格は上がり続けそうなラシーン。欲しいと思ったときが買いどきなのではないでしょうか。
【基本情報】
    1994年・ラシーン タイプII(4速AT)
  • 全長×全幅×全高:4,115×1,695×1,515mm
  • 車両重量:1,210kg
  • エンジン種類:直列4気筒DOHC
  • 排気量:1,497cc
  • 最高出力:105ps/6,000rpm
  • 最大トルク:13.8kgm/4,000rpm
  • 発売当時価格:196.3万円
スバル フォレスター
次回は、“RVがスポーツの走りを手に入れた”のキャッチコピーでもおなじみの「スバル フォレスター(初代)」の魅力をお届け予定です。キャンプの相棒を探している人はお見逃しなく!

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